そして暗闇の中へ
期間;1999年10月2日〜10月7日
場所;鹿児島県中之島


10月2日
朝、目が覚めると船は口之島に入る所であった。この「としま」はトカラの有人島をまわって奄美大島に行く船である。口之島の次が中之島だ。だんだんとその異様な風景を持った中之島が近付いてくる。島の西側にはとてつもなく大きな御岳(おだけ:979m)がそびえたっている。上の方には雲がかかっていて離島とは思えないスケールの大きさだ。

島につくとセミ(恐らくイワサキゼミ)が鳴いていた。皆疲れも見せず村役場へと向かう。役場の人が暇ならキャンプ場まで送っていってもらえる約束だったのでさっそくきっちゅ氏が聞いてみる。すると・・その答えは想像を絶する「ああ今忙しいから歩いて3時間」という発狂しそうなものであった。「あっそうですか・・わかりました」とあっさり引き下がるきっちゅ氏・・・。おおおそりゃ無理やって・・。ぼくが食い下がり「でっでも荷物が重くてそれで歩いていけと・・」と言ってみたがとりつくしまもなく「矢印どうりに行け」と血も涙もない返事。皆途方にくれて取りあえず役場の空き地で朝飯を食べる。どおしたもんか・・・。と、そのとき、ひとりの男が我々に近付いてきた。その男は5日と6日に泊まる予約をしていた大喜旅館の若旦那であった。彼はただ単に予約の確認に来ただけであったが(この島では部外者はすぐわかるのである)、切羽詰まった我々はどうにかキャンプ場まで連れってってもらえないか、と泣き付いた。その男、カーリー大喜(カーリー=カリスマの略。バブーン氏命名)は「君たち甘いよ」といいつつもちょっと待ってろと言い残しなんと人用、荷物用の2台の車を引き連れて戻ってきたのである。「これに載せな。」小麦色に焼けた彼はもはやカリスマであった。

七ツ山
七ツ山キャンプ場の様子。

そして無事七ツ山にあるキャンプ場に連れていってもらう。帰り際「カーリー」は「気を付けろよ」と一言残して去っていった。かっこよすぎ・・・・。らヴ。
テントなどを張り、キャンプ場の様子をさぐる。ここで大変なことが発覚した。蛇口はあるが水が出ない。しょうがないので植班のメンバーがハイキングがてら役場まで言いにいってくれることとなった。ということでさっそくキャンプ場近くの小川に網を入れてみる。するといきなりツマキレオオミズスマシが1頭採れた。渓流のような感じだが意外だ。さらに掬ってみたがサツマゴキブリの幼生しか採れなかった。サツマゴキブリが半水生というのも知ってはいたが、実際水の中で採ったのは始めてだったので少し感動した。

ひととおりうろうろした後、いよいよ御池、通称"底無し池"にバブーン氏、JOKERと共に向かう。七ツ山の山道をひたすら歩く。1時間半で御池と集落への分岐点へ。とてもきつい。そこから20分ほど歩くとようやく御池に到着。しばし感激して青空を眺めつつ寝っころがる。御池は不気味な雰囲気を醸し出していた。

底なし池
不気味な雰囲気を醸し出す「底なし池」

どうにか降りられる所を探して網を入れる。しかし底無し沼の名前は伊達ではなく実際底が無い・・・。やっとの思いでとれたのはマメゲンゴロウとキベリクロヒメゲンゴロウというしょぼいものであった。マツモが繁茂してていい感じなんだけどなー。

見込みがないので車で来る途中見かけた牧場近くの池に向かう事にする。中之島ではトカラ馬という天然記念物の馬が牧場で大切に飼育されている。寸詰まりのかわいいウマである。

さて目的の池にたどり着く。アメンボなどがいて水草も繁茂していい雰囲気である。が・・なぜかヒメゲンゴロウしかいない・・。なんで?JOKERは何種類かトンボを採っていた。一応ベイトトラップをしかけておく。 結局その日は帰りがけにイタチやアカヒゲ(天然記念物の赤い小鳥)を見たというくらいしか成果はなかった。




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