雨が神を呼ぶ時 |
期間;'04,5,17〜5,19 場所;沖縄県西表島 5月19日 朝9時起床。実質自由な日は今日で最後である。午後はチビセスジ探しに費やすとして、まず午前中は色々と採りたい止水性のものたちを探すべく出発。まずは、今日の夜もライトトラップをしたいので、そんな場所を求めて浦内のほうへ。最初にふらりと入った林道が大変すばらしい。適度に湿り地もあるし。ここにしようかなあ・・などと思いてくてく歩いていたら、リュウキュウキジバトの腐乱死体が!!ここで、きゃー死体ーー、などと乙女のように叫ぶのも一興なのであるが、観察すると死んでいるはず死体の羽毛がウゴイテイル・・これは・・祭の予感・・。表情を変えたおいかわ丸はやおらそのハトの肢を掴んだかと思うと網の上に持ってきて振る。振る。SHAKE!SHAKE!!ボトボトボトボトッ・・イヤッーハァッーー!!祭の予感的中。エンマムシ(閻魔蟲)やガムシ(牙蟲)、ハネカクシ(羽隠)などの腐肉に集まる軍団が採集できた。君の死は無駄ではなかった・・リュウキュウキジバトの亡骸に手を合わせその場を立ち去るのだった。 腐肉軍団 さて、いつまでも腐肉蟲にかかずらわっている場合ではない。ワタシは湿地帯の貴公子おいかわ丸である。ということで、次は湿地帯へ向かう。ここでの目標は微小系である。実はキオビチビゲンゴロウとかアンピンチビゲンゴロウとか欲しているのだが、なかなか良いのは採れない。それでもまあ、チビコツブゲンゴロウ、コマルケシゲンゴロウ、タイワンマツモムシ、セスジアメンボ、ホソミセスジアメンボなどまあまあ良い感じである。タナゴモドキも拝むことができた。 ホソミセスジアメンボ。うーんCOOL!! 次に西表島に来る際は毎回網を入れている牛さんプールに向かう。水生カメムシ類に詳しいI氏によれば、ここではウスイロケシカタビロアメンボが採れるという。採るぞォォーー。そして現場に到着。ふむふむ、たしかにケシカタビロアメンボがたくさんいる。が、しかし何がどれなのか不明・・。とりあえず違いそうなのを見繕って採集する。まあはじめはこんなもんです。いいんです。その他にはサザナミツブゲンゴロウ、チャイロチビゲンゴロウ、タイワンケシゲンゴロウ、タマケシゲンゴロウ、ツヤミズムシ、ケチビミズムシ、オオコマツモムシ、イシガキコマツモムシ、クロイワコマツモムシなどザクザクいらっしゃって、相変わらず良いポイントです。 牛は水浴びが好き ということで、目的のブツはほぼゲットできた。いよいよ最後の大詰め。チビセスジゲンゴロウを狙う。もう採るまで帰らない覚悟である。気合だ。そして現場に到着。しかし、ここで神はワタシに微笑みかけていた。なんと、3日前に水が無くて陸だった場所に水がたまっている。そう、初日のあの雨が原因である。これはいけるかも。期待が高まる。網を入れるといきなりヤエヤマセスジゲンゴロウが。初日あれだけ苦労したのだが、どうもゲンゴロウ類が戻ってきているようだ。一時的水域が好きなゲンゴロウ類というのはほんとすごい。おそらくそこら辺の土中で水が来るまでじっとしているのであろう。それか飛んでくるのか。まあそんな考察はこの際どうでも良い。そんなことを考えながら、5回目くらいに網を入れたところ、なんとチビセスジがいきなり採れた。え・・うそ・・感動・・。採れるときはあっさりと採れるものである。この微妙なサイズ・・そしてどこか赤みを帯びた体色。まさに上質を知る人専用の雰囲気が惜しげもなく漂っている。クハーたまらんねえ・・。結局、一時間ほど粘ってチビセスジゲンゴロウは4頭も採ることができた。個体数が少ないといわれているゲンゴロウとしてはかなりいい線なのではないだろうか。つーか、かなり満足。 上質を知る人へ・・チビセスジゲンゴロウ。むふー。 もう明日には帰らなならんので、仕掛けっぱなしのFITを回収。やはり、蟲の飛び道がわからない。このような想像力の欠如した状態では一目でわかるレア物が入っているはずもなく、アリヅカムシの一種などが少数採れているのみであった。このトラップは難しい。実力のなさを痛感する。もっと修行積まなくては。帰り道、林道の水溜りでリュウキュウオオイチモンジシマゲンゴロウが交尾していた。リュウキュウセスジゲンゴロウがたくさんいたので、むしろこちらを採集した。 最後の夜なので、ゆったりと過ぎ去る時間を惜しむ・・などと悠長なことはせずにライトトラップの準備である。上原にあるなんたら食堂で久方ぶりにしっかりと野菜炒め定食などを食し(うまかった)、7時半くらいに出撃である。今回もBLTを二つ、熟慮して道沿いにしかける。そして、昼間に腐肉祭を行った林道でライトトラップの店を開く。天気もそう悪くなく、風も強くはないのだが、ひたすらマルハナノミ(3種?)しか採れず惨敗・・。落胆してBLTのほうへ行くと、何故かこっちの方が微小なゲンゴロウやガムシ類が採れていた。うーん・・トラップって難しい。結局後半は飽きて、水路にいるタナゴモドキやタメトモハゼをすくい採って遊んでしまった。フォーーー タメトモハゼ。 以上で、今回の旅は終了である。総括。かなり良かった。5月下旬という時期もさることながら、今回は珍しく色々と運が良かった。初日の雨はヘビを呼び、最終的にはチビセスジゲンゴロウも呼んだ訳である。生物の世界は何がどこでつながるのか全く予想できない。狙っていたババナガアシドロムシ八重山亜種やヤエヤマセスジゲンゴロウも首尾よく採れ、短期間ながら100点といったところである。だが、課題としてはやはりトラップ・・あまり恥ずかしいことばかりしてられないので、少しは修行を積もうと堅く誓うのでした・・ |
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