憂鬱な夏の雨
期間;'03,7,10〜7,13
場所;長崎県対馬


7月11日
例のごとく、夜博多港を出る船で出発したので夜中はそこら辺で睡眠して朝から頼んでおいたレンタカーに乗り出発である。今回の参加メンバーは毎度お馴染みトンボ屋のマック、そして初登場のガタボウズ氏である。氏は研究室の先輩であるのだが、クワガタ採集及びブリーディングに関してはなみなみならぬ情熱を持っており、しばしば珍品オンリーに突っ走ってしまうクワガタブリーダーという趣味をお持ちながら、地元のヒラタクワガタといった普通種に関しても累代飼育し大形化に力を注ぐなど、分け隔てなくクワガタを大事に飼育されており、そのスタンスは非常にスバラシイ。

さて、メンバーがすばらしいのは良いのだが天気が素晴らしくナイ。雨が結構降っているのである。今回の採集ではバナナトラップセットを持参したり、ライトトラップセットを持ってきたりと、およそ貴公子おいかわ丸らしくない万全の準備なのだが(ガタボウズ氏の完璧主義な影響が大きいのだが・・)、雨ではそれらの威力が半減である。嘆いていてもしょうがないのでとりあえず北部へ激走する。

とりあえずバナナトラップを仕掛けておこうということになり、まずは某有名林道へと向かう。私は増水しまくる前にヒメドロムシが採りたかったので渓流に向かう。ツシマサンショウウオの幼生などが採れたものの、イマイチである。この後、北部ツシマのクワガタのいそうな所を点々と回ってトラップを仕掛けていく。雨がひどい。


ツシマサンショウウオの幼生

さて、午後になりガタボウズ氏が雨の野山を駆け回って材割りしている間に、昨年マックと一緒にきてテラニシセスジゲンゴロウと秘蟲を採った湿地へと行ってみることにする。行ってみると全く同じような風景。これならいそうだ、ということで早速採集に入ったものの・・・いない。マメゲンゴロウしかいない。何故・・。見た目には、水深、水質、植物の具合などほとんど変わっていないのに。時期がいけないのだろうか。生き物はしばしばこのように、一見同じように見える場所からサッパリと姿を消してしまう。ある生き物がその場所にいる理由、いない理由というのは科学的に一般化できるのかな。とても興味深い。

貴公子は飽きっぽいので隣の川へと向かう。やや増水しているものの、なんとかヒメドロが採れそうである。では、失礼して・・ぬおっ!いたいた。たくさんいた。いきなりツシマツヤドロムシである。まあ見た目にはそれほど激しく異なるデザインではないのであるが、特産だけにうれしい。さらにガサゴソしているとゴトウミゾドロムシが採れた。こいつも福岡県では少ないのだが、この島では比較的多いようである。そして、次!おお!ザイツェビアリア・ゴトーイことホソヒメツヤ風のヒメドロムシが現れた。こいつが巷で噂のツシマのヒメツヤドロムシ!!確かに肉眼で見ても一回り大きい!!感動的。この他同じく福岡県では少ないムナビロツヤドロムシも比較的多く、種類はこの4種くらいなのだが割りと楽しめる。

一通り採集したとこで、雨は降ったり止んだりだがライトトラップの準備をすべくガタボウズ氏を回収して、ライトの出来そうなところを探す。丁度ヨサゲな開けた場所があったので、ここにライトを設置して蟲が来るのを待つ。そして、数十分後、来たのは蟲ではなく雨であった・・。急いでライトセットを回収。しょうがないのでそのまま夜間観察&バナナトラップ回りを行う。

バナナトラップ回りでは、やはり断続的に降ったり止んだりの雨が悪影響を及ぼす。バナナが十分発酵していないのもあるのだが雨によって匂いが流れてしまっている。むう・・。ところが、付近のモミの木を回った所ここでネブトクワガタが採集できた。対馬では普通種だそうだが、それでもカッコよい。ガタボウズ氏もご満悦で採集しておられた。


ネブトクワガタ。熱いファンが多い。

その後も路上観察を続ける。クワガタには非常に悪い天候だが両爬にはベストだったようでツシマアカガエルがいきなり現れた。そして、実は生きているのは初見というアカマダラが!!!ほえええ!!!!ヘビ運がナイ私は感動的に嬉しかった(泣)・・


ツシマアカガエル。対馬特産!




アカマダラ。大陸系のヘビ。

結局この日は雨は降り止まずそのままバードウォッチング公園にて就寝。



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