雨が神を呼ぶ時 |
期間;'04,5,17〜5,19 場所;沖縄県西表島 5月17日 西表島について二日間、ワタシはKOTETSU氏の僕として忠実に働いた。もうなんの文句もないくらいに。サンプリングの方がうまくいったのかどうかはまあこの際おいておこう。KOTETSU氏はおいかわ丸に“最終日にトラップ回収するのを忘 れ る な よ ! ! ”と念を押したので、適当に生返事をしつつ、午後4時の船で石垣島へ戻っていく氏を見送った。氏は石垣島に戻っても実験があるのだそうだ。偉いなあ。 さて、KOTETSU氏もいなくなったので、いよいよスタート。何せ最終日には任務があるので全く自由に行動できるのはあと3日である。これは血を吐くくらい頑張らねばなるまい。だが、しかし、いきなり雲行きが怪しい。雨降りそうである。 とりあえずは、某N林道へ。最近西表島ではヤツボシハンミョウというナイスガイが記録されているので、一応ハンミョウ好きな貴公子としてはヘロヘロと目を配っているのであるが、ヒメヤツボシハンミョウしかいない。でも、何気に採ったことないので喜んで採集である。そして、まず狙うはヤエヤマセスジ&チビセスジである。話によれば、こいつらは林内の薄暗い水溜りに生息しているそうである。ということでここ数ヶ月のイメージトレーニングによりすでに完成している心の風景そのもの、という場所を見つけては網を入れていく。ガサガサッ・・ぬおゎ・・なんだヤエヤマセマルハコガメか・・ ヤエヤマセマルハコガメ 亀などに構っている場合ではないッ(とかいいつつ写真撮ったりしているわけだが・・)。初日というのはなんだかんだいって結構気合が乗るものである。しかし、なかなか採れない。なんというか、水がほとんどないのである。もともとセスジ系は不安定ですぐ干上がるような水溜りが好きとのことで、ポイントで採り難い代表種みたいな方々ではあるのだが、ちょっと水が無さ杉である。かろうじて、林道の奥の方でちょっとした水溜りを発見。ココしかない。本日最高潮の集中力を発揮して慎重に採集を行う。水のしたたる落ち葉をどかすとその下に・・ぬおぁッ!!!!ヤエヤマセスジゲンゴロウ!!!!っていうかでーかーいー・・。エリトラの肩の黄色いラインも非常に鮮やかなセスジゲンゴロウである。これはいい。なんかチンメルマンセスジゲンゴロウみたい。でも翅の条数はしっかり7条(チンメルマンは10条)。純然たる別種である。とりあえず目的の一種を早々とゲット。勢いにのってもう一種の方も・・ゴソゴソ・・と、突然網の上で巨大な物体が跳ねた。セスジモードのワタシの眼では捉えられずに不意をつかれて動揺する。そいつはリュウキュウオオチモンジシマゲンゴロウでした。ンフー。ウレシイ。。とは言え、一時間ほど採集したもののそれ以外にめぼしいものは採れず、一時退却することとした。 見たまえ!これがヤエヤマセスジだ! R大の施設に戻る途中で、某A林道へと向かう。実は、昨日ドサクサに紛れてMARUYAMA式フィットという仕掛けをかけてみていたのだった。FITとはフライト・インターセプション・トラップの略で、近年微小昆虫関係者のあいだで話題沸騰の熱い昆虫トラップなのである。まあ、原理としては蟲の飛び道を透明な板でさえぎって、ぶつかって落ちた蟲を受け皿で回収するという簡単なものである。ということで、仕掛けたそれを覗いてみるが・・なんも採れておりません。そうなのです、原理は簡単なのですが、蟲の飛び道に関する知識(や経験)がないと採れないわけです。まあ当然ではあるが。 知ってのとおり、湿地帯の貴公子おいかわ丸の行う昆虫採集とは、“湿地で網を振り回すものが全体の99%を占める”ので、陸上の蟲がどこを通るかなんて全然想像できないのである。ヤエヤマセスジゲンゴロウがいそうな湿地は眼を閉じればすぐに思い描くことができても、微小甲虫がどこをどう飛ぶのかなんて想像したこともない。したがってかけ方がよくわからない。うーん、やっぱ甘くないよなあ。と一人つぶやいて大富売店で夕食を買って食べた。 さて、今日はライトをしたいのである。え、ライト?そうなんです。今回はO師匠からライトトラップのセットを借りてきているのです。なんという準備の良さ。水生昆虫にもっとも威力を発揮するライトトラップをどこでくらわしてやろうか・・。そう思いをめぐらせていたその時!!ものすごい豪雨が!!!こりゃあ無理・・何故だ、こんなに日ごろの行いが良いのに(←この辺が問題)・・ 落胆していても仕方がない。こういう日は両爬観察である。ひょっとしたらヘビがたくさん見れるかもぉ・・と淡い期待を抱く。この辺の切り替えの早さは我ながら見事である。期待に胸膨らませ、午後八時くらいから車をゆっくりと走らせた。トロロロロ・・・ん?おおッいきなりヤエヤマセマルハコガメが。かわいい。なんという愛らしい顔だ。トロロロロ・・・ん?なんか路上に・・ぬぉお・・無数のサキシマヌマガエルがッ!!!それにしてもおびただしい数である。これはどうゆっくり走っても引いてしまう。ふと先を見るとなにやら鳥が路上にいる。ということで車を停止させじっと見ていると、どうもその鳥は路上のサキシマヌマガエル食べ放題パーティーを一羽で開催しているらしかった。ただつったっているだけで次々と路上にカエルが出て来るので楽なことこの上ない。お食事の邪魔をせぬよう別の道を通って県道に出た。 路上のカエル(無数の物体) それを食べる者(ゴイサギの幼鳥だそうです。クレイジーバーダーさんありがとうございました。) さて、雨はざんざか降り続いている。路上のものに気をつけながらトロトロ走る。むふぅ・・カエルが多し。ヤエヤマアオガエル、サキシマヌマガエルなどである。 と、その時路上に細いものが。むむぅ、車を止めて駆け寄る。おお、サキシマハブではないですか!!ヘビが見れないことで有名なおいかわ丸はたいそう喜ぶ。さらに進む。おお、今度はサキシママダラではないですか!!ヘビが見れないことで有名なおいかわ丸はたいそう喜ぶ。さらに進む。おおサキシマハブではないですか!!へb・・(以下7回繰り返し)・・すげーーーーまじすげーよ!!ヘビがたくさんいるじゃないか。なんだこれは。まさにこれまでのヘビ運の無さがすべて帳消しになるような幸福である。しかし、真打はこの後に登場した。 ↓カエルの轢死体を食べるサキシマハブ氏 @美味しそう→Aぱくりこ。 トロロロ・・・おおぅまたヘビじゃ!!どれd・・・!!??え!?なんということか、あの憧れのヘビがその目の前に!!そのお名前は、サキシマバイカダ!!!うわー妄想人の妄想の産物じゃなかったんだ。ほんとにいるんだ。そこにはまさにサキシママダラとは数倍格の違うマダラヘビが鎮座していた。あーもう何でもいいや。これで。うまく写真が撮れなかったので、とりあえず捕まえて明日の朝写真撮ることにする。結局、深夜まで走り回って、サキシマハブ7匹、サキシママダラ8匹、サキシマバイカダ1匹、サキシマスジオ2匹を拝見することができたので、たいそう満足して寝た。 麗しのサキシマバイカダ様(翌朝の御姿) |
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