小さなスター達の競演
期間;'03,6,30〜7,2
場所;沖縄県沖縄本島


7月1日(午後)
午後は海。そう、サンゴアメンボが欲しいのである。図鑑を見れば(特に宮本(1961)で描かれている図。)その姿に皆さんもきっと驚愕するでしょう。毛がね、ほんとにこんな毛がはえてんのかよ・・生えてるのか、ゴラーッッ!!と思わず切れそうな奇抜なデザイン。すごく欲しいんです。昨年の春に行った時には姿も形もなかったので、今回はマジですよ。ということで本部半島の相も変わらず素敵な海岸へ。そもそも、サンゴ礁にいるアメンボというものにイメージがわかない。サンゴ礁と言っても様々な環境があるではないですか。全くイメージがわかないのでとりあえず歩き回ることにします。まずは岸に近いリーフ内の水溜り。うーん、ケシウミアメンボは一杯いるんだけど、いませんねえ。日向、日陰、水のたくさんある所、無い所、流れのある所、無い所・・どこにもいない。リーフ内ではないのかね。今度はリーフエッジに向かって歩いていく。


こんな場所に・・

リーフエッジでは多少強い波が打ち寄せている。行ってみて、リーフエッジにはやや深い、外に繋がった入り江状の水溜りが多数あることに気づいた。ひょっとしてこういうところかね。見下ろすと色とりどりのサンゴ礁性の海水魚が泳ぎ回っている。と、その時、水面をものすごいスピードで旋回する物体が目に映った。はじめはハエのようなものが水面すれすれを飛んでいるのか、もしくは水面直下をボラのようなものが高速で泳いでいるのか、と思ったくらいである。目をこすりそれを凝視する。速い・・、全く姿が追えない。しかし、しばらく見ているとパーッッと動いてしばらく消えて、またパーッッと水面をすべっているように見える。これは、アメンボ???なんだか良くわからないがその物体が消えた辺りをジィっと見つめると・・。!?いた!?ア メ ン ボ だ!!!!サンゴアメンボだ!!!。そこには水面から上半身を岸に投げ出して休んでいるピカピカに光ったアメンボが佇んでいた。これほど速いとは、思わず息を飲んだ。採れるか?・・アメンボに対して採れるかどうか判断できなかったのはこれが初めてである。腕を動かすと、サンゴアメンボは再び泳ぎだした。ピィィィヤァァァーーー恐ろしいスピードでタイドプールを縦横無尽に泳ぎ回る。うおお・・これはすごい。しかし、潮の引いている時間は短い。なんとしても採らなくては。それから10分間は全く太刀打ちできなかった。明らかに何頭もそのタイドプールにはいるのだが、全く目に追えない。というか4匹くらい同時に泳ぎ出したらお手上げである。それでも10分後くらいにはようやく目が慣れだし、遊泳パターンも見えてきた。とにかくヤツラは泳ぎ続けない。しばらくすると確実に岸で休むのである。そこでまず止まった場所を確実に押さえる。そして、オヨギ方は大抵の場合、岸から岸へ半円を描いてピョコピョコ岸伝いに泳いでいく。タイドプール自体を横断することはまずないことがわかった。となれば、作戦は止まっている場所をまず押さえ、ついで泳ぎだす方向(これは右か左なので運を天に任せる)に網を構えておけば、泳ぎだした時に勝手に網に入るのではなかろうか。そして、この作戦は的中した。ターゲットを絞る。網を構える・・。狂ったようにオヨギだしたサンゴアメンボは網が見えていないのか、次の瞬間スポッと網に入った。はっ入った!?サンゴアメンボだ、ワーイ!!意外と初採集はあっさりと網に入ったが、嬉しい。確かに毛が生えているッ!こんな感じでなんとか5頭採集できた。うへへ、えへへ。帰り際、オキナワシロヘリハンミョウも採集することができ、うれしいオプションが。うへへ、えへへ。


サンゴアメンボ!見よ、このイカレタデザインを!

さて、今回は明日には帰らなくてはならないので休んでいる暇が全くないのである。沖縄本島といえば、皆さんご存知のように幻のタイワンコオイムシの記録があることで有名です。当然狙わなければ湿地帯の貴公子とは言えません。しかし、まともな方法で採集するのは難しいだろうなあ・・どうすべきなのか。しばし悩んだ結果、巷で話題のボックスライトトラップ(以下BLT)というのを試してみることにした。早速付近のホームセンターへ直行。沖縄本島にように立派な島では何でもすぐに手に入るので便利である。ホームセンターで電池式の4Wのブラックライトを2個購入、ついで100円ショップでバケツと下敷き、ビニールテープを購入。多分これで出来るやろう。早くしないと日がくれてしまうので、急いでポイントへと向かう。ポイントって言っても、たいした情報があるわけではないので文献上で過去に採れたって書いてある某K町まで行ってみる。ヨサゲな湿地を発見したので早速自作BLTを2個セット。


こんな感じ。中には水を入れただけ。水生昆虫だし、泳ぐやろ。

いやー、日没にはなんとか間に合った。採れておくれよう。付近のコンビニで夜飯を食べて、早速夜観察へGO!!今夜のルートは、@某ダムのライトに来る蟲を採るAトカゲモドキ丸秘ポイントに行って初トカゲモドキを拝む、の2本立てである。まずはダムへ。丁度20時頃到着する。明かりは煌々と光り輝いておりよい感じである。そこでは、リュウキュウコクワガタ、オキナワヒラタクワガタを始めとして、普通種と思われるカミキリ類、コガネムシ類が多数飛来していた。でも普通種とは言え、初採集なのでこれは非常にポイントが高い。 さて、次にトカゲモドキ丸秘ポイントである。これは昨年春にクレイジーバーダー氏により伝授された秘密ポイントでほぼ確実にクロイワトカゲモドキが見られるというすばらしい場所である(昨年行った時は奇跡的に見ることができなかったのだが・・)。今回は夏だし、大丈夫に違いない。散々迷った挙句、1年と3ヶ月ぶりくらいに再びその場所へと降り立った。さて、トカゲモドキは・・!?ぬおぁ!!心の準備をする前にいきなり現れてしまった。うおークロイワトカゲモドキだっ!!なんというかっこいい顔をしているのだ。


クロイワトカゲモドキ。はなぢでそう。

想像以上に素早いその物体はサーっと壁を登って森の中へと消えていった。その後さらに2個体も見ることが出来、"すごいポイント"の凄さを1年3ヶ月後に十分味わうことが出来た。 トカゲモドキでラリッた貴公子は、すでに疲れもピークでラリっていたのだが、BLTの効力は恐らく3〜4時間。電灯が消えたら回収した方が良いように思われるので、そのままトラップの回収に向かう。すでに仕掛けてから5時間近く経過し、予想通りライトは消えている。わくわくしながらトラップの中を確認。!!?うお・・なんか凄い数の微小甲虫が・・。


ヒィィィ。スゴーイ。

アマミチビゲンゴロウ、サビモンマルチビゲンゴロウ、タテスジナガドロムシ、アカハラアシナガミゾドロムシ、アマミミゾドロムシが全体の8割。うーん・・こいつらは別にライトを使わなくても採れるんじゃ・・。そう思った瞬間、それら微小普通種の合間に何かが見えた(気がした)。注意深く探すと、なんと1頭のみではあるがミナミツブゲンゴロウが!自身初採集である。ウホー綺麗、なんたる美麗種!!一人夜中の湿地で叫ぶ貴公子。そうして夜はふけていく・・。


ミナミツブゲンゴロウ。綺麗すぎる。泣く。




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