苦悩、その先にあるもの
期間;1999年7月24日〜7月29日
場所;鹿児島県徳之島


7月25日
本格的な活動を開始する日である。初めてくる島であるのでまず車で走りまわってポイント探しをする事にした。昆虫班は三人で軽自動車に乗り込み出発する。まず天城岳の方に行ってみた。山(さん)の集落の辺りから細い道を入って行く。すると途中から一面さとうきびの畑が現れた。さらに右折したり左折したりしながら天城岳に近付いていくと林道を発見した。恐らく山に向かっているのだろうとその道を進むとなんとバナナトラップが仕掛けてあった。トラップにはトクノシマノコギリクワガタやスジブトヒラタクワガタが来ていたが貴公子おいかわ丸は無論つまみ食いなどしなかった。また道路上にはアマミハンミョウがたくさんいる。アマミハンミョウは奄美諸島特産だがさらに徳之島のものは独特の青みを帯びているのである。また普通の奄美バージョンのものもいて実にお得な気がする。そいつらを採っていると上のほうからそのトラップの仕掛け主と思われるあからさまにクワガタ屋のおじさんが軽トラで現れた。何採ってるんだい?と聞いてきたのでマニュアルどうり「ハンミョウです。」と答えるとおじさんは安心した様子で去っていった。おじさんが去った後我々は自前のパイナップルトラップを付近に仕掛けてその場所を後にして別のポイントを探すべく天城岳をおりた。

今度は島の北側を廻って池を探す事にした。無論水生昆虫のためである。途中ハブセンターという怪しげなものがあったので寄ってみることにした。有料で生きたハブが見れるらしいのだが取りあえず止めておいた。またS⇔R君が乾燥したハブにかまれて血を流して騒いでいたが、本物のハブにかまれるというのはなかなかできることではない。よかったね。こうしてハブに噛まれて無事だった男の伝説は誕生した。

再び出発して昼ご飯を買うべく百貨店とある店に入る。まあ離島っぽくちらほらと賞味期限切れの食べ物などもあるが何よりも貴公子の目をひいたのが頭に被る笠である。よく南国の農家の人が被っているあれである。無性に欲しくなりJOKERと共にそれぞれ別のタイプを買うことにした。
天城というあたりまで来て地図に載っている池を探したのだがなかなか見つからない。でもまあなんとか3つの池を発見しとりあえずホテイアオイで覆われている池にゲンゴロウトラップ(モンドリ)をかけた。
とりあえずキャンプ場に戻り弱っていたバブーン氏に今日の出来事などを話していたら辺りでチョウを採っていたS⇔Rがなんとオキナワキノボリトカゲを採ってきた。緑色ででかい。こいつは欲しいぞ・・。バブーン氏と共にその現場へと向かった。現場は・・といっても畦付近のヤシの木一本に一匹ずつ止まっている。めっちゃ普通種のようである。しかし採集はなかなか難しい。いるのは見えるのだが近付くと裏側に廻り込むのである。なんとか長竿(長い捕虫網)で3匹捕獲して、トカゲ用に持参していたプラケースに木や草と共に入れ木陰に吊るしておいた。

オキナワキノボリトカゲ
オキナワキノボリトカゲ。採っちゃった♪でも・・

さてキャンプ場ではなにやら大家族と思われる集団がバーベキューをしている。とても気さくな方々でヤキソバや焼き肉、ビールなど本当にたくさんいただいてしまった。散々飲み食いして徳之島また来てね〜と言い残し酔っ払ったまま運転してみな帰っていった。地元民との交流は楽しいものである。もうおなかもいっぱいだし風が強くてとてもライトトラップができそうも無いのでおとなしく寝ることにした。

ゴォオォォォォ・・・夜中ふと気付くと何やら凄まじい音がする。それと共にテントがきしんでギィギィ言っている。ああこれが近付いてきているという熱帯性低気圧か・・とシュラフの中で考えていた。(実はこの時この熱帯性低気圧は徳之島付近で台風へと変わっていたのであった・・)しかし風も雨もすごい勢いである。いまにもテントはつぶれて吹き飛びそうである。横の一年生二人はびくともしていない。ここで焦ったら先輩として、いや貴公子として名折れであろうと思いその凄まじい雨と風の様子をうかがっていた。この時一年生もそんな風に思っていたらしく妙に落ち着いて三人で台風についてあれこれ語っていた。まあそのうちどうでもよくなってきたのでみんな寝てしまった。でもこの時小動物班の方は大パニックだったらしい・・。



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