湿地帯の貴公子誕生
期間;1999年3月30日〜4月4日
場所;沖縄県与那国島


4月1日


この日からが本番。ヨナグニホンダで自転車を予約してあったので朝バスで祖納まで行く。地元のおばちゃんと運転手さんの会話は我々内地の人間にはさっぱり聞き取れなかった。さて与那国ホンダに行きつくと誰もいない。?ふと机を見ると携帯の番号が書いてありここに連絡せよとの言葉が・・。電話すると間もなく原チャリに乗って捕虫網を持ったおじさんが現れた。私の網(水網)を見るなり、氏は一言”ゲンゴロウ?ヒメフチはいるけどフチトリは難しいよ”と呪文を唱えた。改めてこの島のすごさを認識する事となった。

ここからはチャリにのって採集活動に入る。取りあえず南牧場に行きたいので比川に抜ける一本道を行く。途中横に伸びる道を見つけたのでスウィ−ピング(まあ適当に網を振り回してただけだが)しながら進んだ。まあいろいろと捕れる。と、その先で水溜まりを見つけた。まあ水溜まりである。ところがその水面には 何やら不思議なものが・・。そうその不思議なものとは日本最大(約20mm)のオキナワオオミズスマシである。げっ!!ということで水棲網を用いて2匹得た。タッパーの中でもそもそ動くこいつらはもう化け物であった。こりゃ幸先いいぞ・・っていうことで火がついた貴公子は水溜まりに侵入。そういやここにはエサキタイコウチとかいるんだったなあ・・と思って水中に目をやる。と、なんとそのエサキタイコウチが・・・ そのまま気を失いかけたがなんとか素手でそれを掴む。ここでは計4匹得た。それにしても・・なんてかわいらしいタイコウチなんだ。ヒメタイコウチよりもスマートなその体型はまさにお姫様である。貴公子おいかわ丸にふさわしい獲物だ。

絶好調でそのまま久部良にゲンゴロウトラップ用のサンマを買いに行く。バブーン氏も今日は南牧場に行くということなので同行する。ちなみに久部良の商店では冷凍のサンマを一匹130円くらいで売っている。サバの時もあるようだが。

水生昆虫の一大ポイント南牧場、と言っても実際には南牧場の方ではなく途中で左の方にいくのである。こっちでは田んぼや湿地がひろがり与那国馬がうろついている。砂利道を下っていき田んぼの横の用水路を掬ってみる。いきなりトビイロゲンゴロウが採れた。こいつはいくらでもいるがこればっかである。あとはミナミイシガメが田んぼのなかでもどこでもやたらと多い。こんなにカメの多い所はそうないだろう。カメを捕っててもしょうがないのでもっと先へ行く。しばらく行くと広大な湿地が広がっている。そして一面に抽水植物がはえている。ところどころ深く池のようになっているのでそこを掬う。何回かやるとガムシが採れた。ガムシは八重山では一般に珍品だが結構多い。とにかく昆虫採集は気合がすべてである。手が痛くなっても腕がつってもひたすら網をふるう。まさに鬼神のごとく、いや湿地帯の貴公子そのままに華麗に採集を続ける。小さいゲンゴロウ類、トビイロゲンゴロウやウスイロシマゲンゴロウ、コガタガムシは死ぬほど採れる。ときどきコガタノゲンゴロウが入って、ちょっとうれしい。こういう中型〜大型の水生昆虫がわんさかとれるのはやはり楽しい。ここで一発大物をっと思い気合を込めて網を入れる。そして網をあげたその時・・網の上でビッグな昆虫がバシバシ跳ねている。一目で分かる。これこそヒメフチトリゲンゴロウである。念のため頬をつねって深呼吸してから絶叫。地獄の亡者の断末魔の叫び声・・じゃなかった大天使ミカエルを彷彿とさせる勇壮な声が山々にこだまする。やった・・・カンゲキ・・・。

ミナミイシガメ
ミナミイシガメ(撮影;バブーン)

そこからキャンプしている比川までどう戻ったのか、さらにバブーン氏に何をしゃべったのか全く記憶がない。記憶は夕飯を食べ終わった後くらいから戻っているのでそこから続きを。夜9時過ぎになって仕掛けたトラップ(モンドリ)を回収すべく(実は帰り際に仕掛けておいたのだ)再び先ほどの湿地帯に向かう。今度は3人一緒である。夜は人工の明かりも月もなくかなり暗い。首尾よく湿地帯に着いてトラップを確認。しかし早すぎたのか何も入っていなかった。明日の朝に期待したいという事で引き上げる。バブーン氏はゲホウグモというクモを採っておおはしゃぎであった。
その帰り道巨大なヤシガニも目撃できとても充実した一日であった。

ヤシガニ
ヤシガニ(撮影;バブーン)




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