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【研究テーマ】

陸水に生息する生物を対象とした自然史の記載研究と、陸水生態系の保全に貢献する応用研究を行っています。

Key Words 河川、池沼、淡水魚類、水生昆虫類、外来種、生活史、分布、分類学、生物地理学、生態学、生物多様性、保全、自然再生、生物指標、環境教育、生物と文化

最近は主に以下の5つのテーマに取り組んでいます。


1)河川の生物相を決定する仕組み(生物地理学)
一見同じような環境であっても、そこに生息する生物の種類は様々です。生物の分布は歴史的、物理的、生物的な要因が複雑に関連した結果成立していますが、その一般的な法則性については未だ不明な点が多く残っています。そこで、多種多様な水系が存在する東アジア地域に注目し、複数分類群にわたる河川性生物を対象として地理分布、分子系統地理、生活史、形態分類等の情報を統合し、河川の生物相を決定する仕組みの解明を目指しています。



<関連論文>
  • Tominaga, K., Nakajima, J., Watanabe, K.(2016)Cryptic divergence and phylogeography of the pike gudgeon Pseudogobio esocinus (Teleostei: Cyprinidae): a comprehensive case of freshwater phylogeography in Japan. Ichthyological Research, 63: in press.
  • Watanabe, K. et al. (2014) Genetic population structure of Hemigrammocypris rasborella (Cyprinidae) inferred from mtDNA sequences. Ichthyological Research, 61: 352-360.
  • Nakajima, J. et al. (2013) Fishes of the East Tiaoxi River in the Zhejiang Province, China. Ichthyological Exploration of Freshwaters, 23: 327-343.
  • Onikura, N., Nakajima, J. et al. (2012) Predicting distributions of seven bitterling fishes in northern Kyushu, Japan. Ichthyological Research, 59: 124-133.
  • Nakajima, J. et al. (2011) Longitudinal distribution patterns of three spined loach species (Cobitidae, Cobitis) in the Onga River system, northern Kyushu Island, Japan. Folia Zoologica, 60: 319-324.
  • 中島 淳ほか(2011)宮崎県大淀川水系から得られた特異なシマドジョウ属.魚類学雑誌,58:153-160.
  • Miyake, T., Nakajima, J. et al. (2011) The genetic status of two subspecies of Rhodeus atremius, an endangered bitterling in Japan. Conservation Genetics, 12: 383-400.
  • 北川えみ・中島 淳ほか(2009)九州北東部におけるシマドジョウ属魚類の分布パターンとその成立過程に関する考察.魚類学雑誌,56:7-20.
  • 三宅琢也・中島 淳ほか(2008)ミトコンドリアDNAと形態から見た九州地方におけるニッポンバラタナゴの分布の現状.日本水産学会誌,74:1060-1067.
  • Nakajima J., et al. (2008) Distribution pattern of Cobitis (Telostei : Cobitidae) in northern Kyushu Island, Japan. Folia Zoologica, 57: 10-15.
  • 中島 淳ほか(2006)福岡県における純淡水魚類の地理的分布パターン.魚類学雑誌,53:117-131.
  • 緒方 健・中島 淳(2006)福岡県のヒメドロムシ.ホシザキグリーン財団研究報告,9:227-243.


    2)未知の水生生物を発見して命名する(分類学)
    日本国内にもまだ名前のついていない「いわゆる新種と呼ばれる生物」が数多くいます。生物相の違いを定義する上で、また保全を行っていく上で分類学的な種の定義は必要不可欠です。そこで分類学的な課題の残るコイ目ドジョウ科やコウチュウ目ヒメドロムシ科を対象として分類学的研究を行っています。これまでに国内から11種・亜種のシマドジョウ属、2種のカラヒメドロムシ属、1種のアシナガミゾドロムシ属を新種として記載しました。



    <関連論文>
  • Kamite, Y., Nakajima, J. (2017) Notes on the Stenelmis hisamatsui species group in Japan, with description of a new species from Kume-jima, Ryukyu Islands (Coleoptera: Elmidae). Koleopterologische Rundschau, 87:253–273.
  • Nakajima, J. (2016) Cobitis takenoi sp. n. (Cypriniformes, Cobitidae): a new spined loach from Honshu Island, Japan. ZooKeys, 568: 119-128.
  • Nakajima, J., Suzawa, Y.(2016)Cobitis sakahoko, a new species of spined loach (Cypriniformes: Cobitidae) from southern Kyushu Island, Japan. Ichthyological Research, 63: 68-78.
  • Nakajima, J. (2012) Taxonomic study of the Cobitis striata complex (Cypriniformes, Cobitidae) in Japan. Zootaxa, 3586: 103-130.
  • Yoshitomi, H., Nakajima, J. (2012) A new species of the genus Sinonychus (Coleoptera, Elmidae) from Kyushu, Japan. Elytra, Tokyo, New Series, 2: 53-60.
  • 中島 淳ほか(2012)日本産シマドジョウ属魚類の標準和名の提唱.魚類学雑誌,59:86-95.
  • Yoshitomi H., Nakajima, J. (2007) A new species of the genus Sinonychus (Coleoptera, Elmidae) from Japan. Elytra, 35: 96-101.


    3)生活史の記載的研究(個体群生態学)
    ある生物が生まれ、成長して、子孫を残して死んでいく過程を生活史と言いますが、この生活史の科学的解明は生物の保全や生態系の仕組みを理解する上で重要です。これまでにカマツカ、モツゴ、カワバタモロコ、ヒナモロコなど主にコイ科淡水魚類の生活史について記載的な研究を行いました。今後は普通種と希少種の違いを生活史の観点から理解していきたいと考えています。



    <関連論文>
    カマツカ
  • Nakajima, J., Onikura, N.(2016)Life history of Pike Gudgeon, Pseudogobio esocinus (Cypriniformes, Cyprinidae): differences between the upper and lower reaches in a single river. Ichthyological Research, 63: 46-52.
  • Nakajima, J., Onikura, N. (2016) Spawning behaviour and male mating success of Pike Gudgeon, Pseudogobio esocinus (Cypriniformes, Cyprinidae), in an experimental tank. Ichthyological Research, 63: 39-45.
  • 中島 淳(2015)カマツカの産卵・初期生態に関する一知見.水産増殖,63:65-70.
  • Nakajima, J., Onikura, N.(2015)Larval and juvenile development of Pike Gudgeon, Pseudogobio esocinus (Cyprinidae: Gobioninae).Ichthyological Research, 62: 268-273.
  • Nakajima, J. et al. (2008) Habitat of the pike gudgeon Pseudogobio esocinus esocinus in the Nakagawa River, northern Kyushu, Japan. Fisheries Science, 74: 842-845.
  • 中島 淳ほか(2006)カマツカ卵の孵化に及ぼす水温の影響.水産増殖,54:515-519.
  • 中島 淳(2006)カマツカ仔魚の走光性.ホシザキグリーン財団研究報告,9:244.
    モツゴ
  • Onikura, N., Nakajima, J. (2012) Age, growth and habitat use of the topmouth gudgeon, Pseudorasbora parva in irrigation ditches on northwestern Kyushu Island, Japan. Journal of Applied Ichthyology, : in press.
    カワバタモロコ
  • Onikura, N., Nakajima, J. et al. (2010) Maturation and growth in the wild population of Hemigrammocypris rasborella. Aquaculture Science, 58: 297-298.
  • Onikura, N., Nakajima, J. et al. (2009) Habitat use of the golden venus chub (Hemigrammocypris rasborella) at different growth stages in irrigation channels. Zoological Science, 26: 375-381.
    ヒナモロコ
  • 中島 淳・鬼倉徳雄(2009)野外におけるヒナモロコの成長と利用環境. 魚類学雑誌,56:135-144.
    総説
  • 鬼倉徳雄・中島 淳(2012)第8章 コイ科魚類の生活史:現代における記載的研究の意義.日本生態学会(編),シリーズ現代の生態学 9.淡水生態学のフロンティア.共立出版,東京.


    4)陸水生態系の保全に関する研究(保全生態学)
    近年、効果的に生物多様性を保全・再生していくための技術の確立が社会的に求められており、そのためにはまず対象とする生態系の状況を正確に把握できる科学的な指標が必要です。そこで生態系の観点からみた水環境の健全度を評価するための指標の開発に取り組んでいます。また、得られた結果に基づいた環境教育用の教材も作成し、自然観察会等で実際に活用してその効果を調べています。



    <関連論文>
  • 中島 淳・鬼倉徳雄(2012)九州北部の淡水魚類を用いた平均スコア法による水環境の健全度評価法.水環境学会誌,35:81-88.
  • Onikura, N., Nakajima, J., et al. (2011) Evaluating the potential for invasion by alien freshwater fishes in northern Kyushu Island, Japan, using the Fish Invasiveness Scoring Kit. Ichthyological Research, 58:382-387.
  • 中島 淳ほか(2010)魚類の生物的指数を用いた河川環境の健全度評価法.河川技術論文集,16:449-454.


    5)生物多様性と歴史と文化(文化魚類学)
    日本では古い文献にしばしば陸水生物に関する詳細な記述が残されており、これらの文献上の記述と関連する文化の一部は現在でも継承されています。これらの情報を整理し理解することは、生物多様性の保全目標の設定や、保全を目的とした合意形成を行う上で重要なものです。そこで、淡水魚類を初めとする陸水生物の地方名や食文化、文化財と生物多様性の関係、生物の生息場所と妖怪の出現場所などについて調査を行っています。



    <関連論文>
  • 中島 淳ほか(2015)中国太湖周辺における淡水魚介類食文化の記録.魚類自然史研究会会誌ボテジャコ,19:33-41.
  • 中島 淳(2013)筑前国続風土記において貝原益軒が記録した福岡県の淡水魚類.伊豆沼・内沼研究報告,7:23-37.
  • 中島 淳・林 博徳(2013)佐賀県松浦川におけるウグイ(イダ)漁とその食文化.魚類自然史研究会会誌ボテジャコ,18:63-65.
  • 鬼倉徳雄・中島 淳(2010)重要文化的景観地,通潤用水の魚類相および水生昆虫相.九州大学大学院農学研究院学芸雑誌,65:39-46.
  • 中島 淳(2010)筑後川中流域の漁業と淡水魚食文化.魚類自然史研究会会誌ボテジャコ,15:17-23.


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